研究室より 2025
〈大学院生の動向〉
今年度、群馬大学大学院医学系研究科小児科学分野には、一般枠で入学された和田綾先生、社会人枠で入学された土橋里美先生を含め、総勢15名の大学院生が在籍しています。そのうち女性は9名で、私の記憶する限り、女性の割合が半数を越えたのは今回が初めてです。小児科学教室では、性別を問わず、多くの医師が研究者としての一歩を踏み出しており、大変心強く感じております。和田先生は、群馬大学生体調節研究所の細胞構造分野にて、「小胞体からゴルジ体輸送に関わるGolt1Bの機能解析」、特にインスリン分泌への影響に焦点を当てた研究を開始されました。土橋先生は、大阪大学大学院連合小児発達学研究科にご留学され、「幼児期の睡眠習慣が神経発達に及ぼす影響の解明」と「神経発達症児に対する反復経頭蓋磁気刺激の有効性と安全性の検証」をテーマに研究に取り組んでおられます。臨床研究棟4階小児科学教室の研究室では矢島千景先生が腎臓学の研究を、生体調節研究所では島田正晴先生が内分泌代謝学の研究を進めており、いずれも現在、学位取得に向けて最終段階に入っています。また、山﨑陽子先生(腎臓学)と荒川直哉先生(基礎神経学と呼吸器アレルギー学)は、今年度より社会人枠に変更され、村山悦子先生(血液腫瘍学)とともに大学での病棟業務に従事されながら、研究成果のまとめにも意欲的に取り組まれています。泉理恵さん(精神学)と西澤拓哉先生(消化器学)も社会人枠として研究を継続しており、ともにまとめの段階に入っています。一方、大谷祐介先生は、呼吸器アレルギー学の研究に引き続き真摯に取り組まれており、奥野はるな先生は病態病理学分野にて、小児脳腫瘍の研究に専念されています。2024年度は残念ながら学位取得者はおりませんでしたが、2025年5月には、内分泌グループの田部井容子先生が、「α-methyl D-glucoside stimulates glucagon secretion and ameliorates obesity-associated metabolic disorders in mice: αメチル D-グルコシドはグルカゴン分泌を促進し、マウスの肥満関連代謝疾患を改善する」の研究で予備審査を無事通過され、近日中に学位取得の予定です。心よりお祝い申し上げます!大学院生の皆さんは、それぞれの目標に向かって日々着実に努力を重ね、多くの成果をあげています。専門性の高い多彩な研究テーマに真摯に取り組む姿は、教室全体に良い刺激と活気をもたらしてくれています。それぞれの研究が、未来の医学を支える礎となり、医療の発展に大きく貢献することを確信しています。
〈教室の研究活動〉
Research Conference(RC)と留学報告会、学位取得記念講演は火曜日昼または夜に開催しています。多くの医師や医学部生が医学研究ならびに留学の経験に触れ、将来のキャリアプランを築く上で大変貴重な機会となっています。研究室スタッフでは、技術補佐員の石井清絵さんが患者検体の処理や保存、実験補助、研究室の管理などを一人で担当しています。石井さんの支援により、私たちは日々の診療や研究に専念することができ、心より感謝しています。
私たちの教室では、小児医療や小児保健の幅広い領域に対して多分野の研究グループ(呼吸器アレルギー、腎臓、内分泌代謝、神経、血液腫瘍、新生児、消化器、循環器、精神)が、臨床研究ならびに基礎研究を行っています。グループ間の垣根を超えて協力しながら研究成果を臨床応用へと結びつけるトランスレーショナルリサーチを積極的に推進しています。さらに、グローバルな視野で活躍できる医学研究者を輩出するとともに、今後も多くの最先端の知見や研究を発信することを目標にしています。同窓会の諸先生方や医会員の皆様のご協力に深く感謝しております。今後も変わらぬご支援、ご指導ご鞭撻を何卒よろしくお願い申し上げます。
八木久子(H12卒)